「サイトM&Aは不動産のように短期売買が可能なのだろうか?」
「サイトM&Aで短期売買するときのメリットやリスクが知りたい。」
「どんなやり方で、どのぐらいの期間が必要なの?」
あなたは、このような疑問を抱えてはいないでしょうか?
結論から申し上げると、サイトM&Aで短期売買することは可能です。
ただし、買収したサイトを転売するまでには最低6ヶ月必要です。
本日は、その辺りの事情をお話するとともに、サイトM&Aの短期売買におけるメリットとリスクについて解説いたします。
サイトM&Aの短期売買とは?まずは用語の確認。
本題に入る前に、まずはサイトM&Aにおける短期売買の意味を確認しておきます。
ここでのサイトM&A短期売買とは、
『売却益で儲けることを目的にサイトを買収し、1年以内など短期間で転売すること』
と定義しておきます。
金融用語でいうところのキャピタルゲイン狙いです。長期の運用益で儲ける場合はインカムゲイン狙いの投資となるため、本記事とはべつの考え方になります。
サイトM&Aの短期売買には最低6ヶ月かかります。
さて、それではさっそく本題に入りたいと思います。
前述のとおり、サイトM&Aの短期売買では、最低6ヶ月の期間が必要です。
それはなぜか??
サイトを売却するさいには資産価値を証明するための証拠(エビデンス)を提示する必要があり、少なくとも6ヶ月の運営実績を求められることが多いためです。
エビデンスの内容としては、毎月の売上や経費が集計された損益計算書(PL表)やGoogleアナリティクスのアクセスデータなどが挙げられます。
ここでふと、こんな疑問が浮かんできたかもしれません。
「買収前のエビデンスを転用すればいいんじゃないか?」
はい、もちろん次の買主が了承してくれさえすれば、買収前のエビデンスを用いて売却することも可能です。その場合、6ヶ月以内に短期売買できる可能性もあります。
ただし、その交渉が通ることは稀だと考えたほうがいいでしょう。
なぜなら、買主の立場に立ったとき、買収後の運営がスムーズに引き継げるか非常に気になります。買収後もしっかり運営実績を出しているほうが、次の買主としては安心なため、ほとんどの買手は買収後の運用実績を求めてくるでしょう。
引き続きまして、次はサイトM&Aの短期売買におけるメリットについて話していきます。
サイトM&Aで短期売買するメリット
サイトM&Aで短期売買するメリットは、スピーディーに資産を増やしていける点です。
2019年現在、多くのサイトM&A案件では、月間利益の約24ヶ月分の金額で売買がなされています。ということは、単純計算で投資の回収までに2年かかります。仲介業者への手数料を考えると、それ以上かかってしまう可能性もあり得ます。
(※サイトを改修して収益性を高め、想定より早く回収できるケースも多々あります。)
試しに、月の利益が10万円のサイトを240万円で買収し24ヶ月で投資を回収した場合と、平均利益を1.5倍に伸ばして6ヶ月後に買収を繰り返した場合の例を比較してみましょう。仲介手数料は30万円と仮定しました。
【長期運用】24ヶ月で投資金を回収した場合
投資金(240万円)+手数料(30万円)を24ヶ月で投資金を回収。
240万円の価値のあるサイトが残る。
⇒結果:(240万円+10万円×24ヶ月)-(240万円+30万円)=+210万円
【短期売買】売上を1.5倍に伸ばして6ヶ月後に買収を繰り返した場合
投資金(240万円)+手数料(30万円)に対し6ヶ月間の平均収益(15万円)+売却益(360万円)
1回の転売につき180万円のリターン。24ヶ月の期間で4回転同じことをおこなう。
⇒結果:{(360万円+15万円×6ヶ月)-(240万円+30万円)}×4=+720万円
※分かりやすいよう税務処理の話は省いています。
ここまで上手くいくことは稀ではありますが、短期で売買を繰り返すことで資金効率がよくなり、資産の増えるスピードが早くなることが分かっていただけたかと思います。
また、今回のケースでは毎回同じ金額(240万円)の案件を扱う想定でしたが、仮に回収した資金をすべて再投資した場合には、さらに速いスピードで資産形成が可能です。
ただし、サイトM&Aの短期売買はいいことばかりではありません。
次はリスクについて見ていきましょう。
サイトM&Aで短期売買するリスク
サイトM&Aの短期売買には様々なリスクが潜んでいます。
サイトM&Aの短期売買で想定されるリスクは以下の3つが考えられます。
- 仲介手数料が毎回かかってしまう
- 税金面で不利になる可能性がある
- 競業避止義務に引っ掛かる恐れがある
順番に解説していきます。
仲介手数料が毎回かかってしまう
ほとんどのサイトM&A案件は、サイトM&A仲介業者を通じて取引が行われます。
そのため、M&Aをするたびに仲介手数料が発生し、利回りを圧迫することになります。
サイトの改修がうまくいかなかった場合、その投資においては仲介手数料だけが引かれた形になってしまう可能性もあるということです。
サイトの目利き、運用スキルが重要だということが伺えますね。
税金面で不利になる可能性がある
また、税金面においても不利になる可能性があります。
というのも、サイトM&Aの税務処理は具体的な処理方法が確立されておらず、広告費等の名目で一括で経費に計上してしまう方もいれば、ソフトウェアとして5年かけて減価償却する方がいます。
仮にソフトウェアとして5年で減価償却する場合、サイト買収時は買収額の20%しかその年の経費にできないにもかかわらず、売却した際の売却額はすべてその年の売上として計上されます。
つまり、短期間で売買を繰り返すほど課税対象額が増えてしまう可能性があります。
そのため、サイトM&Aを短期でおこなう際は、課税対象の期間(個人事業主の方であれば1/1-12/31、法人であれば決算まで)における損益計算書をもとに検討するとともに、できれば税理士などにも相談するようにしましょう。
競業避止義務に引っ掛かる恐れがある
最後にお伝えするのは、競業避止義務についてです。
競業避止義務とは、サイトM&A契約書に記載する項目の1つで、
「譲渡基準日から〇年間は、本件サイトと同一または類似の事業を営んではならない」
のような内容となっています。
簡単にいうと、サイトを売ったら一定期間は同じジャンルのサイトを運営しないでね、という約束です。これを破ると、競業にあたるサイトを閉鎖しなければいけないだけでなく、最悪の場合は損害賠償を請求される可能性もあります。
そのため、特定のジャンルが得意だからといって、同じジャンルに絞って短期間で売買を繰り返す、ということは難しいです。
まとめ:サイトM&Aの短期売買はハイリスクハイリターンの投資です。
以上、本日はサイトM&Aにおけるメリットとリスクについてのお話でした。
サイトM&Aの短期売買はうまくいけば物凄いスピードで資産を倍増していけるものの、リスクも高く、不確実性の高い投資ともいえます。
そのため、まずは小型のサイト買収+サイト運用で経験を積み、ある程度慣れてきてM&Aと運用のサイクルが回ってきた段階で短期売買を検討するようにしましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。